
いであつしの 『モードの鼻毛mini』
Vol.11 ちょいモテオヤジになれる福袋抽選会
正月の2日に、新宿の京王百貨店で売り出された「モテるオヤジに変身!夢袋」の抽選会を見に出かけて来た。あの『LEON』の岸田編集長が監修した、ちょいモテオヤジになれる服が一式入った福袋なんだそうだ。
その気になる中身はというと、有名ブランドのコート、ジャケット、ニット、パンツ、革小物と総額20万円相当の服が 一式入って、さらにこれを着て出かける高級イタリアンレストランのペアディナー券も付いていて、お値段10万円なり。限定2袋!
当選者には、会場で岸田編集がトークショーを交えながら、直々にちょいモテオヤジになれるコーディネイトもスタイリングしてくれるらしい。
どうなのよ、この福袋って。そのうちの岸田編集長のちょい営業ギャラはいったいいくらなんだ?
ちなみに女性向けの福袋もあって、こっちは「モテる艶女に変身!夢袋」ときたもんだ。「艶女」と書いて「アデージョ」と読むんだジョ。
福袋の抽選会場は大混雑であった。さぞやちょいモテオヤジばっかり来ているのかと思ったら、ところが人だかりはオバサンばっかり。箱根の温泉福袋の抽選とかハワイ旅行の福袋とか、当選者が決まると人が次々減っていき、本日のメインイベント「モテるオヤジに変身!夢袋」の抽選になったら、あらら、会場には数えるほどしかいなくなっちゃったよ。
お、その中に、かろうじて、ちょいワル風なオヤジを発見。推定年齢50代前半。ジーパンにポマードべったりのオールバックで、ペルソールというより西部警察なサングラス、イタリアというよりアメ横の中田商店で買ったと思われるボマージャケットを着て、英字新聞を開いてポーズをキメながら岸田編集長のご登場をいまかいまかと待っているのだ。
ちょいモテオヤジになりたい数少ないギャラリーを前にして、モテるオヤジになれる福袋の抽選会は始まった。
どうみてもニキータでアデージョには見えない、イベント会社から派遣されたねえちゃんが司会進行役である。
「さぁそれではみなさんお待ちかね!あのちょいモテオヤジでおなじみの雑誌LEONのカリスマ編集長、岸田一郎さんのご登場です!」
岸田編集長は、スエードのジャケットにシャツを第2ボタンまで全開にして、セレブジーンズの裾をひきずって、トレードマークのサングラスを夏でもないのに『ど根性ガエル』のヒロシみたいに引っかけて、お出ましだ。
おお〜、みんなの憧れ、ナマ岸田編集長だよ。元祖ちょいモテオヤジだよ。でもなんかナマで間近で見ると、年末進行明けで顔色もわりぃし、典型的な疲れた普通の中年オヤジじゃん。オレのがよっぽどモテそうだよ。
応募者数70数人。いよいよ岸田編集長直々に、お待ちかねのモテるオヤジになれる福袋の抽選がスタート。
てっきり、あの岸田ファンのリアルちょいワルオヤジが当選するのかなと思ったら、当選者は会場に来ていなくて、抽選は盛り上がらないままあっというまに終わってしまったのである。
仕方ないんで、岸田編集長が会場に用意されたマネキンに着せた福袋の中身一式をひとつひとつ解説しながら、ちょいモテオヤジになれるコーディネイトを伝授することになったのだ。
「イタリアオヤジは、よくこうやってコートの胸ポケットに革の手袋を差して見せるんです。このへんの細かいワザが小僧には真似できないんですね」
司会のねえちゃんが、へぇ〜、そうなんですかという顔をして「さすがはちょいモテオヤジですね!」と岸田編集長を持ち上げるんだけど、トークショーはちっとも盛り上がらない。
「イタリアオヤジは、よくこうやって帽子も被るんですけど、これはべつに禿げを隠してるわけじゃあなくて、ミラノの冬はものすごく寒いんです」
岸田編集長のコメントにいちいち「なるほど〜、それがちょいモテオヤジならではのワザなんですねぇ〜」とか言って、ちょいちょいちょいちょい、うるさいったらありゃしない。
ときおり、バーゲン帰りの買い物客が「なんかやってるの?」と会場を覗くんだけど「誰?なんとかジローラモって人?」とか言って、違うとわかるとさっさと通り過ぎて行っちゃう。
そりゃそうだ。ちょいモテでもちょいワルでもない健全で善良な一般市民は、LEONの岸田編集長なんて誰も知ったこっちゃあないよね。
そんなこんなでトークショーも、ちょいどころかちっとも盛り上がらないままに終了。なんか場末の遊園地のイベント会場みたいな、ちょいモテオヤジになれる福袋&岸田編集長トークショーなのであった。(2006.2)