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 いであつしの 『hibidasu』

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◎ 正月二日の同窓会

 某月、某日。今年の正月の二日に故郷の富士で初めて小学校時代の同窓会が開かれた。
 当時のクラスメイトと会うのは実に28年ぶりである。おまけに当時の小学校は6クラスぐらいあったので、全クラスの同窓会となると200人くらいは軽く集まってしまう。富士で唯一「グランド」がついたホテルで大々的に行われたのだ。
 ぼくはこれまで小・中・高・大学(途中で退めちゃったけど)と、同窓会というものに一度も出たことがない。だから今回が同窓会初体験なのだ。
 そうなると気持ちは自然と椎名桔平になっちゃうわけですね。
あ、わかんない人のために解説しとくと、昔『Age,35』っていうドラマがあったんですけど、主演は中井貴一と田中美佐子で、中井貴一が部下の瀬戸朝香と不倫するのよ。で、ダンナの不倫に気づいて苦悩する奥さんの田中美佐子も、何年かぶりの同窓会で同級生だった椎名桔平と再会して逆不倫の仲になっちゃうという、同世代のオヤジたち(オレ)にはたまんないドラマだったのだ。
 ポイントはこの時の椎名桔平の職業というのが陶芸家ということである。自由業。ていうか芸術家。どうよ、これ。すっかりみんないいオヤジサラリーマンになっちゃったヤツばかりの同窓会でこんなヤツがいた日にゃあ、そりゃあ田中美佐子じゃなくたってよろめくわな。ズルイ。反則。でもカッチョイイ。
 毎回このドラマを見ていたぼくは、かねがね「もしも同窓会があったら、オレもポジション的には絶対、椎名桔平だね」と思っていたのだ。そしてこの度ついにその機会がやってきたんである。
 結論から先に申し上げると、そんなこたぁ全然なかったべさ。
「あ、いで君、変わってな〜い」という声も出たには出たけど、でもそれはちょっと椎名桔平とは意味が違い、正確には「いで君、昔とおんなじで太ってるね」という、「変わってな〜い」だった・・・。
 ところで28年ぶりに開かれた同窓会だが、二次会、三次会となっていくとだんだん人数も絞られていき、最後は気の知れたヤツだけという小人数になったのだが、中に一人、始めからずうーっと最後まで加わってついて来てるヤツがいた。
 そいつはカラオケを歌ってもたいして目立たないし、ずっと水割りを黙って飲んではオレたちの話に笑ってうなづいているだけだったのだが、名前を何度聞いてもクラスも顔も思い出せないのだ。ぼくだけが忘れてるのかと思ったら、他のみんなもソイツのことを思い出せない。
「えーと、名前、なんだっけ?」
「やだなぁー、あっちゃん(オレのこと)、ぼくのこと忘れちゃったの?○○だよ、○○だよ」
「あー、そうかそうか、○○君ね」
 今こうして書いていても、やっぱり名前も顔も思い出せない。
いったい誰だったんだ、アイツ?

 

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