加藤茶犬の 『番犬商売』

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   ◎茶犬の勝手に番犬

     その5.己のへそのゴマを番する

 あれはかれこれ6年前、茶犬はどこからか「へそのゴマは服の繊維や皮脂のカスの固まったもので、ごみだから取ったほうがいい」という情報を得ました。
  それまで、「へそのゴマをとるとお腹が痛くなる」母に聞かされたのを信じてノーマークだったのですが、ためしに見てみると、あるある、真っ黒な「ゴマ」! さっそくその日のお風呂上り、ぽりぽりと指で掻き出し、さらに周辺の黒っぽくなってしまったへそ内部の皮膚をかりかり爪で掻いておりました。
  そして次の日。お腹は痛くなりませんでしたが、どうやらかりかり掻いたところからばい菌が入ったらしく、へそが真っ赤に!慌てて外科に行くと、「だめだよ〜、指で触っちゃあ」と叱られたうえ、消毒液に浸した綿を詰め、ばんそうこうで×印にへそが封印されてしまいました。まるでたぬきです。おまけに夏の盛りだってのに、「治るまで毎日通院(毎日綿を替えて封印する)」「入浴禁止、身体を拭くだけ」と厳命され、本当につらくて間抜けな思いをしました。
  以後、怖くてへそを触ることはなかった茶犬ですが、先日病院で、お腹全開にして内科診察を受けている時、お医者さんから「ん?へそのゴマ、大きいね、こりゃとったほうがいいよ」と言われてしまいました。過去の苦い記憶が蘇るところですが、お医者さんに「とったほうがいい」と言われると、なんだか気になる。しかも、よく見てみれば年前よりもさらにゴマは大きく、何かの種みたいになっているのです。と、とりたい・・・!
  その晩から、茶犬の苦闘は始まりました。今度は決して指で触らないように、お医者さんに言われた通り、綿棒にオリーブオイルをちょっとつけて、へそをなぞる。一日でとろうなんて思っちゃいけません。ちょっとずつちょっとずつ浮かせて・・・
  しかし今回のゴマは、なかなかしぶとい奴です。見た感じ真っ黒なのですが、さらに根元の方を見ると、白っぽく、皮膚と直接つながっているようなのです。この薄い皮膚を傷つけたら、またたぬき・・・慎重にならざるを得ません。でも服を脱ぎ着するたびにへそが気になり、次に同じ病院で診察を受けた時、「あれから何か気になることは?」と聞かれ、「へそのゴマがとれません」と言って笑われたりしていました。
  そして、時は過ぎ、とうとう、ゴマが根負けする日がやってきました。ゴマとつながっている皮膚だ、と思っていた白っぽい部分までひっくり返り、文字通り「根こそぎ」ゴロリと綿棒につられて出てきたのです。でかいっ!!汚いっ!! それまでの数週間、ゴマにとりつかれた私を心配して「へそのことは忘れなさい」とまで言っていた家人に嬉々として報告し、「こいつめ〜」とゴマを解体し(やはり皮脂や何かのカスっぽかったです)、すがすがしいような、ちょっとさみしいような気分でゴミ箱に捨て、私のへそゴマ戦争は終了しました。教訓、日ごろのケアが大切。ゴマ化する前に、皆さん汚れはやさしく落としましょう。  (2003.5)

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